コラム

2024.04.15
発達障害について

診断がないゆえの生きづらさ - 発達障害グレーゾーンとは?

発達障害の診断を受けることは、脳機能に特性のある人にとって自己理解への第一歩となります。
さまざまな支援を受けることや、周りの理解にもつながります。
しかし、特性を持つ全ての人が明確な診断を受けられるわけではありません。

発達障害のいわゆる「グレーゾーン」に位置する人は、診断基準に完全には当てはまらないため、しばしば見過ごされがちです。
困難は感じるものの、その原因がはっきりとしないため、適切な支援を受けられずに生きづらさを抱えている場合もあります。
そこで今回は、発達障害のグレーゾーンとその生きづらさについて掘り下げ、理解と支援の重要性について考察します。

【発達障害グレーゾーンとは】

発達障害グレーゾーンは、診断基準に完全には当てはまらないものの、日常生活や学業、仕事などの各方面で発達障害に似た困難を経験する人たちを指します。
このゾーンに位置する人たちは、日々の生活の中で、社会的スキル、集中力、組織化能力、感情調節など、多くの面で「見えない壁」に直面していることがあります。

【生きづらさの実態】

グレーゾーンにいると、その苦労が明確な診断に結びつかないため、この状況は自分だけが抱える特有の問題のように感じられ、孤独や不安を増大させることもあります。
それはどのような困難なのか、具体的に見ていきましょう。

・認識されないつらさ
グレーゾーンにいる人たちは、自分の困難が周囲に認識されにくいため、怠けていると勘違いされたり、必要な支援を受けられないことがあります。

・自己理解の欠如
明確な診断がないため、自分自身の特性や困難の原因を理解するのが難しく、自己受容に至るまでの道のりが複雑になることがあります。

・適切な支援へのアクセス困難
診断がないと、学校や職場での合理的配慮や支援サービスを利用するのが難しい場合があります。

【支援と理解のためにできること】

①包括的な評価
診断が難しいケースでは、多角的な観点から個人の特性や困難を評価することが重要です。
これにより、個別のニーズに合わせた支援が可能になります。

②意識の向上
社会全体で発達障害に対する理解を深めることで、グレーゾーンにいる人たちへの偏見や誤解を減少させることができます。

③自助グループやコミュニティ
同じような経験を持つ人との交流は、孤独感を軽減し、有益な情報や支援を共有する機会となります。

④柔軟な支援策
個々人のニーズに応じて柔軟に支援策を調整することが、グレーゾーンにいる人たちを効果的にサポートする鍵となります。

まとめ

発達障害グレーゾーンにいる人たちは、日々見えない壁に直面しています。
しかしその困難は、社会の理解と支援によって大きく改善する可能性があります。
私たち一人ひとりが、脳の多様性を認識し受け入れていくことが、当事者の生きやすさにつながるのではないでしょうか。

監修:
発達支援スクール コペルプラス
代表講師 有元真紀

幼児教室コペルの講師時代から、のべ1万人以上の子どもたちの指導に携わる。
また近年は指導員の育成にも力を入れている。

無料体験レッスン お問い合わせ / 資料請求