コラム

2024.04.22

子どもの栄養療法とは? 癇癪が減るって本当?

子どもの行動に及ぼす食事の影響は、近年ますます注目されています。
特に、適切な栄養が癇癪や行動の問題にどのように影響を与えるかは、多くの専門家の間で興味の対象となっています。
そこで今回は、子どもの栄養療法がどのようにして癇癪を減少させる可能性があるのかについて解説します。

【栄養療法とは】

栄養療法は、適切な食事が身体だけでなく、心の健康にも良い影響を与えるという考えに基づいています。
具体的には、バランスの取れた栄養摂取を通じて、身体的、精神的な健康状態を改善しようとするアプローチのことです。
この方法は特に、ADHDや自閉症スペクトラム(ASD)、その他の発達障害を持つ子どもたちの行動改善に用いられることがあります。
この療法は、子どもたちの体内で起こっている化学反応を調整し、結果として行動に良い影響を与えることを目指します。

【栄養と行動の関連性】

栄養が行動に及ぼす影響については、科学的にもさまざまな研究結果が発表されています。
例えば、食事に含まれる糖質の量が多すぎると、子どもの血糖値が急激に上昇し、それに伴い気分や行動が不安定になることがあるとされます。
また、不足している栄養素がある場合、それが神経伝達物質のバランスに影響を与え、気分や行動の問題が引き起こされる可能性があるとも言われます。

【栄養不足と子どもの癇癪】

不足しがちな栄養素には、ビタミン、ミネラル、オメガ3脂肪酸などがあり、これらは脳機能と発達に直接関係しています。
特に、ビタミンB群、マグネシウム、亜鉛は神経系の正常な機能を支えるために必要で、これらが不足すると子どもはイライラしやすくなったり、癇癪を起こしやすくなるとされています。

【癇癪を減らすための食事の工夫】

①糖質の管理
簡単に吸収される糖類の摂取を控え、複雑な炭水化物や全粒穀物を選ぶことで、血糖値の急激な変動を避けます。

②必須栄養素の補給
ビタミン、ミネラル、特に神経機能に必要な亜鉛やマグネシウムを意識的に摂取することが推奨されています。
これらはナッツ類、豆類、緑黄色野菜などに含まれています。

③添加物の排除
食品添加物や人工的な甘味料、着色料が含まれる食品は、一部の子どもにおいて過敏症状や行動問題を引き起こす可能性が指摘されています。
これらを避けることで、癇癪の頻度を減らすことが期待されます。

④バランスの取れた食事
全体的にバランスの取れた食事を心がけることで、体内の栄養バランスが整い、心身の健康を促進します。
良質なタンパク質、新鮮な野菜や果物、健康的な脂肪の摂取を目指すと良いでしょう。

【栄養療法における注意点】

栄養療法は一部の子どもには有効な手段ですが、全ての子どもに同じ効果があるわけではありません。
子どもの体質や健康状態、既存の食習慣に応じて、そのアプローチは大きく変わる可能性があります。
また、栄養療法は他の治療法や療育と併用することで、より大きな効果が得られることが多いとされています。

まとめ

栄養療法は、子どもの癇癪や行動の問題に対処するための一つの手段として役立つ可能性があります。
食事から始めるアプローチのため、薬に頼ることなく、子どもたちの日常生活に良い変化をもたらすことが期待されています。

ですが、栄養療法を実践する際は、個々の子どもの体質や既存の健康状態を考慮することが重要です。
全ての子どもに同じ食事が効果的であるわけではないため、栄養士や医師と相談しながら、個別に最適化した食事計画を立てることが推奨されます。

監修:
発達支援スクール コペルプラス
代表講師 有元真紀

幼児教室コペルの講師時代から、のべ1万人以上の子どもたちの指導に携わる。
また近年は指導員の育成にも力を入れている。

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