2024.10.27
発達障害について
自閉症スペクトラムの子どもが数字にこだわるのはなぜ?
自閉症スペクトラム(ASD)を持つ子どもたちの中には、数字やパターンに対して強い興味やこだわりを示す子がいます。
例えば、何度も同じ数字を数えたり、特定の数に執着したり、計算が得意だったりします。
こうした行動はなぜ起こるのでしょうか。
今回は、自閉症スペクトラム(以下:ASD)の子どもが数字にこだわる理由について考え、その背景にある特性やご家庭での対応についてご紹介します。
【ASDの特徴と数字へのこだわり】
ASDは、社会的なコミュニケーションの難しさや、限定された興味、繰り返し行動といった特徴を持つ発達障害です。ASDの子どもは、日常生活においてルールや予測可能な事柄を好むことがよくあります。
こうした特性の一部として、数字やパターン、規則的なものに強い興味を示すことがあります。
数字は非常に明確で、一定のルールに基づいています。
例えば、1+1は必ず2になり、順番を変えても結果が変わることはありません。
数は抽象的概念ではありますが、答えが明確で不変なので、ASDの子どもにとっては安心感につながることがあるのです。
【数字へのこだわりが生まれる背景】
①安心感と秩序の追求
ASDの子どもたちは、日常生活の中で予測不能な出来事や環境の変化に対してストレスを感じやすい傾向があります。そうした不安やストレスに対抗するため、規則的で安定したものに目を向け、そこに集中することで安心感を得ようとするのです。
数字や計算は、常に同じ結果を導き出すため、ASDの子どもたちにとっては秩序や安心感をもたらしてくれる存在となります。
②特定の興味や才能として現れることも
一部のASDの子どもたちは、特定の分野に非常に優れた才能を持つことがあります。これを「サヴァン症候群」と呼びますが、特に数学や記憶力に優れた子どもが多いと言います。
数字に対する興味が、得意分野の一つとして発揮されることもあり、このような場合は才能として捉えるべき側面もあるでしょう。
③刺激の少ない明確な世界観
ASDの子どもたちは、周囲の多くの情報を過剰に感じてしまうことがあり、結果として感覚的な刺激に対して敏感になることがあります。数字やパターンのようなシンプルで刺激の少ない対象は、ASDの子にとって安心できる領域です。
感覚的な過負荷を避けるために、数字というシンプルで直線的なものに集中することが多いと考えられます。
【ご家庭でのサポート方法】
では、数字にこだわる子どもに対して、どのようにサポートすれば良いのでしょうか。単に「こだわり」として認識するのではなく、その特性を活かしつつ、発達を支えるアプローチが大切です。
①興味を尊重する
まず第一に、子どもの興味を否定せず、尊重してあげることから始めましょう。数字にこだわることで安心感を得ている場合、無理にその行動を止めさせることは逆効果になることがあります。
数字やパターンへのこだわりが子どもにとって大事な部分であることを理解し、その興味を認めてあげましょう。
②学びに繋げる
子どもが数字やパターンに強い興味を持っている場合、それを学びの機会として活用することも有効です。例えば、子どもが数字に強いこだわりを持っているなら、数字を使ったゲームやパズルを取り入れることで、楽しみながら学びを深めることができます。
学習にも役立つ知識やスキルとして発展させることで、子どもの自信につなげることができるでしょう。
③こだわりと社会的スキルのバランスを取る
数字や特定の興味に強く集中しすぎることが、日常生活や他の活動に支障をきたす場合があります。このような場合は、少しずつ他の活動にも目を向けられるよう、バランスを取るサポートが必要です。
例えば、数字を使った活動と一緒に、友達と協力しておこなうゲームや集団での遊びを取り入れることで、社会的なスキルも自然に育てることができます。
④予測可能な日常生活を整える
数字へのこだわりが、生活の中で安心感を求める結果である場合、家庭内でも予測可能な日常のルーティンを整えてあげることが効果的です。毎日の予定を決まった時間にする、スケジュール表を使って次に何をするのかを視覚的に示すといった工夫で、子どもの不安を軽減することができます。
まとめ
ASDの子どもが数字に強いこだわりを見せるのは、秩序や予測可能性を求め、安心感を得ようとするからだと考えられます。このこだわりを無理に変えようとするのではなく、尊重し、子どもの発達や学びに繋げるサポートを取り入れることで、より豊かな成長につなげることができます。
一人ひとりの特性を理解し、必要な支援や環境を整えていきましょう。

監修:
発達支援スクール コペルプラス
代表講師 有元真紀
幼児教室コペルの講師時代から、のべ1万人以上の子どもたちの指導に携わる。
また近年は指導員の育成にも力を入れている。
