コラム

2024.12.17
発達障害について

発達障害はなぜ生まれるのか? - 最新の遺伝子研究でわかってきたこと

「発達障害」という言葉を耳にする機会が増える中で、「なぜ発達障害は起こるのか」という疑問を持つ方も多いでしょう。
現在の研究では、発達障害の原因は一つに限定されるものではなく、遺伝や環境など複数の要因が関与していると考えられています。

そこで今回は、発達障害の原因について、最新の科学的知見をもとにわかりやすく解説します。

【発達障害とは】

発達障害には、自閉症スペクトラム(ASD)、注意欠如・多動症(ADHD)、学習障害(LD)などの種類があります。
これらは脳機能の働きに関連する特性であり、社会的なコミュニケーションや行動、学習などの分野で困難を抱えることがあります。

「障害」という言葉が使われていますが、脳の発達の偏りや特性によるもので、個々の能力や可能性を否定するものでは決してありません。
むしろ、特性を理解し、環境を整えることで、その子の力を最大限に引き出すことができます。

【発達障害の主な原因は?】

発達障害の原因は、単一の理由ではなく、遺伝的要因と環境的要因が複雑に絡み合っていると言われます。

1. 遺伝的要因

発達障害の大きな要因の一つは遺伝と言われ、家族に発達障害の特性を持つ人がいる場合、その特性が子どもに遺伝する可能性が高くなるとされています。
具体的には、自閉症スペクトラム(ASD)では、遺伝が関与する割合が70〜90%と非常に高いことが研究で示されています。

また、ADHDや学習障害でも、遺伝が一因とされています。 ただし、遺伝による影響は「発達障害が確実に現れる」というわけではなく、脳の働きや気質に影響を及ぼす可能性が高いという意味です。

2. 環境的要因

一方、環境も発達障害に影響を与えるとされています。
ここでの環境要因とは、胎内環境や出生後の生活環境を指します。

例えば、早産や低出生体重、妊娠中の感染症などが、発達障害のリスクを高める要因として挙げられています。
ただし、これらの環境要因だけで発達障害が生じるわけではなく、遺伝的要因と相互作用することで特性が現れると考えられています。

【最新の遺伝子研究でわかってきたこと】

近年の研究では、発達障害に関与する遺伝子が次々と特定されています。
ただし、一つの遺伝子の変異だけが原因になるわけではなく、多くの遺伝子が複雑に関与していることが明らかになってきました。

①特定の遺伝子変異との関連

自閉症スペクトラム(ASD)やADHDでは、いくつかの遺伝子変異がその特性に関連していることが示されています。
例えば、SHANK3やNRXN1などの遺伝子が、自閉症スペクトラムの発症リスクに影響を与える可能性が指摘されています。

②多因子遺伝モデル

発達障害は、単一の遺伝子変異ではなく、複数の遺伝子のわずかな変異が集まることで生じる「多因子遺伝」の形をとることが多いと言われます。
そのため、発達障害のリスクを完全に予測することはまだ難しい状況です。

③エピジェネティクスの影響

遺伝子の働き方が、環境の影響で変化する仕組み(エピジェネティクス)も、発達障害の研究で注目されています。
例えば、妊娠中の栄養状態やストレスが、子どもの遺伝子の発現に影響を与え、それが発達特性に反映される可能性が示されています。

【発達障害を取り巻く誤解】

発達障害の原因については、いくつかの誤解も存在します。
例えば、「親の育て方が悪いから発達障害になる」という考え方は完全に誤りです。
発達障害は脳の特性に起因するものであり、育児方法が直接の原因となることはありません。

また、「環境を整えれば治る」という認識も正しくありません。
発達障害は治療で完全に消えるものではなく、特性を理解しながら、その子が持つ能力を伸ばす支援が求められます。

【発達障害の特性を理解して支えるために】

発達障害の原因は遺伝や環境が複雑に絡み合っており、現時点では「これが原因」という明確な答えはありません。
しかし、特性を持つ子が安心して暮らせる社会を築くためには、周囲が理解を深め、その子に合ったサポートを提供することが重要です。
例えば、以下のような取り組みが効果的です。

①早期の療育や支援

発達障害の特性がわかった時点で、児童発達支援を活用しましょう。

②家庭や学校での環境調整

子どもが安心して学び、生活できる環境を整えましょう。

③社会の理解促進

発達障害についての正しい知識を広めることも重要です。

【未来に向けた研究とサポートの重要性】

発達障害の原因については、今後も研究が進み、新たな知見が得られることが期待されています。
同時に、発達障害の特性を持つ人たちが暮らしやすい社会を作るための支援や環境整備も着実に進められています。

発達障害は、特性の一つであり、それ自体が個性とも言えます。
原因を理解し、適切な支援をおこなうことで、特性を活かしたその人らしい生き方をサポートしていきましょう。

監修:
発達支援スクール コペルプラス
代表講師 有元真紀

幼児教室コペルの講師時代から、のべ1万人以上の子どもたちの指導に携わる。
また近年は指導員の育成にも力を入れている。

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