コラム

2024.02.09
発達障害について

スペクトラムという考え方 - 特性は誰もが持っている?

「スペクトラム」という言葉は、近年特に発達障害の文脈でよく耳にするようになりました。
特に、「自閉症スペクトラム」の名称でよく知られているかと思います。
今回は、「スペクトラム」という考え方がどのような意味を持ち、私たちが個々の子どもを理解する上でどのように役立つのかを探ります。

【自閉症スペクトラムという名称】

自閉症スペクトラム(ASD)は、社会性・コミュニケーション・想像力の3つにおいて特性が目立つ発達障害です。
ほかにも、限定された興味・関心、反復的な行動や感覚過敏などの特徴が見られます。

DSM-5(アメリカ精神医学会が作成している精神疾患の診断・統計マニュアル)以前は、いわゆる自閉症、アスペルガー症候群、高機能自閉症などは「広汎性発達障害」というカテゴリーに含められ、厳密には別のものとして分類されていました。

しかし、根本に同じ特徴があり、人によって程度や表出の仕方がさまざまであると多くの人が感じていました。
その流れをくむかたちで、2013年に公開されたDSM-5では、それらがすべて「自閉症スペクトラム障害」という名称で統合されたのです。

【スペクトラムの意味】

「スペクトラム(spectrum)」とは、「連続体」あるいは「範囲」と訳される言葉で、光学や物理学で使われる用語です。
基本的に境界線・範囲が明確ではない状態が連続しているさまを表現する場合に使われています。

例えば、虹は色のスペクトラムを形成しており、一つの色が次第に別の色に変わっていきます。
人間の特性においても、スペクトラムは個人の特性や能力が一様ではないことを示し、さまざまな形や程度で現れることを意味します。

「自閉症スペクトラム」も同じように考えられており、ここからここまでが「軽度」であるとか、ここから先は「重度」といった線引きがなく、自閉傾向の程度が同一線上で連続体になっているイメージです。
この考え方は、自閉症スペクトラムを持つすべての人が同じような特徴を持つわけではないことを強調し、個々のニーズに応じた支援の必要性を浮き彫りにします。

【特性は誰もが持っている】

さらに、ポイントとなるのが、スペクトラムの線上に「健常」が含まれているということです。
自閉症に見られるような特性は、実は程度の差こそあれすべての人が持っている、というのが「自閉症スペクトラム」の捉え方です。

いわゆる健常者にも、いくぶんかは自閉症の特性が認められるという観点を使うと、「障害があるかないか」という捉え方ではなく、「特性の程度の差」つまり「濃淡」であるという捉え方ができます。

自閉症の原因が解明されていない現段階では、臨床仮説に留まりますが、自閉症の研究者であるローナ・ウィングの「自閉症はスペクトラム(連続体)を構成する」という理解の仕方は、多くの臨床家と研究者の支持を得ています。

まとめ

あいまいな境界をもちながら連続しているという「スペクトラム」の考え方は、発達障害を持つ子どもたち一人ひとりを深く理解し、最適なサポートを提供するための基盤となります。
この考え方を通じて、私たちは子どもたちの多様性を受け入れ、一人ひとりが持つ無限の可能性を最大限に引き出すことができると考えています。

監修:
発達支援スクール コペルプラス
代表講師 有元真紀

幼児教室コペルの講師時代から、のべ1万人以上の子どもたちの指導に携わる。
また近年は指導員の育成にも力を入れている。

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