コラム

2024.04.10
発達障害について

ADHDを持つ子どもの字の特徴は? 字が汚いのは特性が影響している?

ADHD(注意欠如・多動性障害)を持つ子どもたちは、さまざまな学習上の課題に直面します。
その中の一つが、筆記の問題です。

ADHDの子どもたちは「字が汚い」と言われることがありますが、これは単に適当な性格のためではありません。
筆記の難しさは、ADHDの特性に深く根ざしたものであり、集中力の問題、細かい運動スキルの発達の遅れ、急いで物事を終わらせようとする衝動性など、さまざまな要因によって引き起こされます。
今回は、ADHDの子どもが書く字の特徴と、背後にある複雑な理由について解説します。

【ADHDの子どもの筆記特性】

・不均一な文字サイズと形
ADHDの子どもたちは、一貫した文字サイズや形を維持するのが難しいことが多く、これが字の読みにくさにつながります。

・不規則な文字間隔
文字と文字の間隔が一定でなく、単語が詰まりすぎたり、逆に離れすぎたりすることがあります。

・書く速度の問題
急いで書こうとするあまり、字が乱れたり、途中で筆跡が崩れたりします。
逆に、字をきれいに書こうとしすぎて極端に遅くなるケースもあります。

【背後にある理由】

①集中力の維持が難しい
ADHDの子どもたちは、長時間同じタスクに集中するのが難しいため、筆記作業が途中で乱れがちです。

②細かい運動技能の発達遅れ
指先の細かい筋肉のコントロールが難しく、それが文字を書く際の制御の難しさにつながります。

③衝動性
急いで書き終えようとする衝動性が、筆記の精度を低下させる原因となります。

【サポートと対策】

・正しい姿勢で書く
まずは背筋を伸ばして座り、①鉛筆を正しく持つ、②肘を机につける、③鉛筆を持つ手を机につける、の3つに注意して書く姿勢を身に付けます。

・適切な筆記ツールを使う
太めの三角軸など、握りやすい鉛筆を使うことで、書くことの困難さを減らすことができます。
正しい持ち方をサポートするキャップなども活用してみましょう。

・線書きの練習
大人は文字を書く時、自由に筆圧を調節したり、思い通りの線を書いたりできますが、幼児にとっては難しいことです。
文字の練習に入る前に、自由自在にスラスラと「線」が書けるようになると良いでしょう。
「なぞり書き」や「鉛筆で点と点を結ぶ」ことも、運筆力の向上に効果があります。

・文字書きの練習
一画の単純な形のひらがな(く・し・つなど)のなぞり書きから始めます。
上手になぞれるようになったら、お手本をよく見て、隣に書き写していく練習に進めていきます。
文字形成の基礎から始め、徐々に難易度を上げていくことがポイントです。

まとめ

ADHDの子どもたちが筆記に困難を抱えるのは、適当さゆえではなく、その根底には脳機能の特性が関係しています。
一人ひとりの特性を理解し、適切なツールやアプローチを提供することで、筆記能力の向上を目指しましょう。

コペルプラスでは、文字の練習が単調でつらいものにならないよう、楽しく取り組める工夫を随所に取り入れています。
また、お子様の頑張りをたくさんほめたり、ガッツポーズやハイタッチで書けた喜びを共有し、モチベーションを高めることも大切にしています。

監修:
発達支援スクール コペルプラス
代表講師 有元真紀

幼児教室コペルの講師時代から、のべ1万人以上の子どもたちの指導に携わる。
また近年は指導員の育成にも力を入れている。

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