2024.05.28
発達障害について
嫌なことばかり記憶する? - 発達障害の子どもたちの記憶特性について
発達障害を持つ子どもたちは、独特な記憶の仕方をすることがあり、一部の子は嫌な出来事を強く記憶に残すことがあります。
この現象は、周りの大人にとって理解しにくく、対応に困ることが少なくありません。
今回は、発達障害の子どもたちがなぜ嫌なことを強く記憶に残すのか、その背景にある記憶特性を探り、効果的な対応方法について解説します。
【発達障害の子どもたちの記憶特性】
自閉症スペクトラム(ASD)、注意欠陥・多動性障害(ADHD)、学習障害(LD)などの発達障害を持つ子どもたちは、脳機能の特性から独特な記憶の仕方をすることがあります。その記憶特性の例を以下に挙げます。
・感情に強く結びついた記憶
人は誰しも強い感情を伴った出来事を記憶しやすいですが、発達障害の子どもたちは特にその傾向が出やすいです。
ポジティブな感情よりもネガティブな感情が強く影響することが多いため、嫌な出来事やストレスの多い経験が記憶に残りやすくなります。
・詳細な記憶
発達障害を持つ子どもたちは、細かいディテールを非常によく覚えていることがあります。
特に自閉症スペクトラム(ASD)の子どもは、特定の出来事や事象に対して驚くほど詳細に記憶することがあります。
・特定のテーマに対する集中
自分の興味や関心が強く向けられている特定のテーマに関連する情報を、優れた記憶力で保持することがあります。
これが、他の情報を記憶する能力に偏りをもたらすこともあります。
・反復的思考
ネガティブな出来事を繰り返し考える傾向があり、それが記憶の強化に繋がります。
この反復的思考は、不安やストレスを増幅させることもあります。
【嫌なことが記憶に残りやすい理由】
発達障害の子どもたちが嫌なことを特に記憶に残しやすい理由は、いくつかの心理的および生理的要因に起因します。・情動の強化
嫌な出来事は、強い感情を伴うことが多いため、その情動が記憶を強化します。
これは、脳の扁桃体が関与しており、恐怖や不安などの強い感情が記憶の定着を助けるためです。
・感覚過敏
発達障害を持つ子どもたちは、感覚過敏である確率が他の子どもより高く、特に嫌な出来事に対する感受性が高いです。
例えば、大きな音や強い光、予期しない出来事が強い不快感を引き起こし、それが記憶に深く刻まれます。
・予測不能性の影響
発達障害を持つ子どもたちは、予測不能な出来事に対して敏感なことが多いです。
予期しない嫌な出来事は、脳がその情報を重要なものとして扱い、将来の対処に備えるために強く記憶に残します。
・社会的ストレス
社会的な状況や対人関係における困難も、嫌な出来事を強く記憶に残す一因となります。
親や先生からの叱責や否定的なフィードバックはその典型例です。
【効果的な対応方法】
嫌なことが記憶に残りやすい発達障害の子どもたちに対しては、肯定的なサポートが重要です。①安心感を提供する
子どもが安心できる環境を整えることが最も重要です。
予測可能な日常のルーティンや安全な空間を提供し、不安を軽減します。
②ポジティブな経験の強化
楽しい活動や成功体験を通じて、ポジティブな記憶を強化します。
子どもが興味を持っていることに焦点を当て、できた時には大いにほめることが効果的です。
③専門的支援の活用
発達専門家の支援を受けることもぜひ検討してみてください。
コペルプラスでは、お子様の苦手なこと・できないことに注目するのではなく、今日の療育でできたことをたくさん見つけ、たくさんほめます。
肯定的なフィードバックをもらうことで、「できた!」「楽しかった!」というポジティブな記憶が残り、療育や学ぶことが楽しいものとして定着していきます。
まとめ
発達障害の子どもたちが嫌なことを強く記憶に残すのは、記憶特性が影響している場合がよくあります。特にネガティブな体験は記憶に残りやすいため、学習や療育では「楽しかった!」という気持ちで終わらせるようにすることが大切です。
子どもの感情に寄り添いながら、小さな「できた!」を積み重ね、お子様の自信を育てていきましょう。

監修:
発達支援スクール コペルプラス
代表講師 有元真紀
幼児教室コペルの講師時代から、のべ1万人以上の子どもたちの指導に携わる。
また近年は指導員の育成にも力を入れている。
