コラム

2024.09.25

家ではよくしゃべるのに外では全然しゃべらない…これって場面緘黙?

家の中ではよく話すのに、外では一言も話さない――そんな子どもを見て、「これは大丈夫なのかな?」と心配になることもあるかと思います。
内向的な性格の場合もありますが、「場面緘黙(ばめんかんもく)」という状態の可能性もあります。

場面緘黙は、特定の状況や場所で話すことができなくなる症状です。
今回は、場面緘黙の特徴や、子どもへの理解とサポートの方法についてお話しします。

【場面緘黙とは】

場面緘黙(Selective Mutism)は、子どもが特定の場所や状況で話すことができなくなる状態を指します。
例えば、家では元気に話すのに、学校や大勢の人が集まる場所などの特定の環境ではほとんど口を開かないというケースです。

場面緘黙の子どもは、話す能力自体は問題なく、言葉が出ない状況でも心の中では会話を思い描いていることが多いです。
しかし、強い不安や緊張によって言葉を発することが難しくなっています。

【場面緘黙の主な特徴】

・家族や親しい友人の前では普通に話せる
・学校や公共の場所、特定の人(先生や知らない大人)との会話が難しい
・話せない状況においては、しばしば身体的な緊張が見られる
・話すことに対して強いプレッシャーや不安を感じる

場面緘黙の子どもは、外で話さないことをわざとやっているのではなく、不安や緊張によって声を出すことが物理的にできなくなっているのです。
理解と共感が欠かせない問題であり、叱ることや無理やり話させようとすることは逆効果になります。

【場面緘黙と恥ずかしがり屋のちがい】

場面緘黙と単なる恥ずかしがり屋は混同されがちです。
恥ずかしがり屋の子どもも、新しい環境や初対面の人の前では緊張して話せなくなることがありますが、慣れてくると徐々に話し始めます。

しかし、場面緘黙の子どもは慣れても話すことができず、長期間にわたって同じような状態が続くのが特徴です。
以下は、場面緘黙と恥ずかしがり屋の子どものわかりやすいちがいです。

〈恥ずかしがり屋の子ども〉 時間が経つとリラックスし、話すことができる。
〈場面緘黙の子ども〉 時間が経っても、不安や緊張が解けず、話すことが難しいまま。

このちがいを見極めるためにも、子どもが特定の状況で話せない状態が6ヶ月以上続く場合は、専門家に相談することが推奨されます。

【場面緘黙の原因とは】

場面緘黙の原因は、主に不安やストレスと関連しています。
特に、社会的な不安障害や内気な性格を持つ子どもに多く見られます。

また、過去のトラウマや家庭環境、学校での人間関係が原因となっていることもあります。
場面緘黙の子どもは、他人から評価されることに強い不安を感じ、失敗や恥をかくことを恐れて言葉が出なくなることがあります。

【場面緘黙の子どもへのサポート方法】

場面緘黙の子どもをサポートするためには、無理に話させるのではなく、子ども自身のペースに寄り添うことが大切です。
以下に、場面緘黙の子どもをサポートするための具体的な方法をご紹介します。

1. 無理強いせず、プレッシャーをかけない
場面緘黙の子どもは話せないことで不安を感じているため、「どうして話さないの?」と聞くことや、「話しなさい」と強要することは避けましょう。
話すこと自体に大きなプレッシャーを感じているので、そのプレッシャーをさらに強める行動は逆効果です。

2. リラックスできる環境を提供する
子どもが安心できる環境を作り、少しずつ慣れていくプロセスを大切にしましょう。
初めての環境では、親や信頼できる大人がそばにいるだけでも、子どもは安心感を感じることがあります。
子どもが少しでも安心できるような雰囲気作りを心がけましょう。

3. 代替のコミュニケーション手段を使う
子どもが話すことが難しい場合、ジェスチャーや絵、文字など、別のコミュニケーション手段を用意しましょう。
例えば、カードを使って気持ちを表現したり、絵を描くことでコミュニケーションを取る方法もあります。
言葉以外の手段でコミュニケーションが取れるようになると、子どもも徐々に安心感を得られるようになってくるでしょう。

4. 小さな成功体験を積み重ねる
少しずつ自信をつけるために、無理のない範囲で小さな目標を設定しましょう。
例えば、最初は「うなずく」「手を挙げる」といった非言語的な表現から始め、徐々に声を出すことに挑戦していくという段階を踏むなどです。
小さな成功体験を重ねることで、子どもは少しずつ自信をつけていくことができます。

5. 専門家のサポートを受ける
場面緘黙は、適切な支援があれば改善が見込まれるケースが多いです。
学校のカウンセラーや発達の専門家、児童心理士などの支援を受けることで、子どもが安心して自分のペースで進める環境を整えることができます。
また、療育や認知行動療法など、専門的なアプローチが効果的な場合もあります。

まとめ

家ではよくしゃべるのに、外では全然話さない――それは場面緘黙のサインである可能性もあります。
子どもが話さないことに対して焦りや心配を感じるかもしれませんが、重要なのは無理をさせず、子どものペースに合わせたサポートをおこなうことです。

場面緘黙は、子どもが不安や緊張を感じているサインです。
その感情に寄り添いながら、安心して表現できる環境を用意し、少しずつ自信を取り戻していけるよう、周囲の大人が温かく支えていくことが大切です。

監修:
発達支援スクール コペルプラス
代表講師 有元真紀

幼児教室コペルの講師時代から、のべ1万人以上の子どもたちの指導に携わる。
また近年は指導員の育成にも力を入れている。

無料体験レッスン お問い合わせ / 資料請求