コラム

2019.11.15
コペルメソッド

こだわりが強い子どもを見守る姿勢

前回のコラムで、子どもが失敗した時の対応について書きました。
大人も子どもも、困りすぎない工夫は大切です。
でも、基本はやはり「見守る姿勢」だとコペルプラスは考えています。
今回は、ひとつエピソードをご紹介します。
幼稚園に通っている、仮にAくんとします。
Aくんはかけっこが速く、勝ちにこだわる男の子です。
幼稚園では体力づくりと心を育てる目的で、毎朝かけっこをします。
数人ずつに分かれ「よーいドン!」で園庭を一周します。
一緒に走る相手は、毎日変わります。
ですから、ほとんどの子は勝つことも負けることもあります。
Aくんは、最初はほとんど1番でした。
でも幼稚園にはAくんより速い子もいるので、負けることも出てきました。
Aくんは、自分が1番になれないと思うと、走るのを嫌がるようになりました。
そのうち、かけっこの時間というだけで泣くようになってしまいました。
ここまで読んで、どうにかしてAくんが走る工夫をしたくなったでしょうか?
発達支援には、困ったことを解決する意識があります。
ですから、このようなケースをご相談いただくと「かけっこに取り組めるAくん」を目指す工夫を考えることもあります。
ですが、実際の園長先生の対応は違いました。
園長先生は、毎日順番になると「次はAくん」と名前を呼んで、泣いてしまったら「泣かなくていいよ」と言葉少なに笑顔で励ましました。
時には「先生と一緒に走る?」と声をかけたり、組み合わせを工夫されたりしたこともあったかもしれませんが、基本はただ泣いているAくんを受け入れ、笑顔で励まし続けるだけでした。
Aくんは卒園するまで、1番になれないことを受け入れるのは難しいままでした。
(もちろん、少しずつの成長はありました)
Aくんはいま中学生です。
人に優しく、勝ち負けよりも、自分を含めたまわりのみんなが楽しむことを大切にする子に成長しました。
それに、幼稚園の経験がどのように影響しているのか、はかることはできません。
でも、園長先生の対応には、私たちが参考にしなければいけない大切なものがあると感じます。



​​​​​​​執筆:
発達支援スクール コペルプラス
代表講師 有元真紀

幼児教室コペルの講師時代から、のべ1万人以上の子どもたちの指導に携わる。
また近年は指導員の育成にも力を入れている。

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