2023.10.30
発達障害について
知能検査とは?- 検査の種類、手続き、その意義について
知能検査は、子どもたちの学習能力や発達を評価するための一つの方法として知られています。
しかし、実際にはどのような検査がおこなわれるのか、なぜそれが必要なのか、どのように受けることができるのか、疑問を抱く保護者様も少なくありません。
そこで今回は、知能検査の全体像を解説いたします。
【知能検査とは】
知能検査は、主に物事の理解力や知識、課題を解決する力といった、認知能力を測定するための心理検査の一つです。これにより、子どもの知的発達の特性や強み、課題を明確にすることができます。
「Inteligence quotient(知能指数)」を略した「IQ」という値が基本的な指標になりますが、知能検査の種類によって知能の概念や測定方法は異なります。
知能検査は、併存する知的障害を診断したり、認知能力の偏りなどを調べるために用いられます。
そのため、知能検査の結果だけで発達障害と診断されることはありません。
発達障害の診断は、医師が問診から得た情報や各種検査結果を踏まえ、診断基準(アメリカ精神医学会の『DSM-5』)に沿って、総合的に判断されます。
【種類】
次に、主な知能検査の種類についてご紹介します。①田中ビネー知能検査V
1947年に心理学者の田中寛一によって考案されたもので、日本人の文化や生活様式に即した内容が特徴です。
子どもが興味を持てるように、検査に使われる道具も工夫されています。
子ども用(2~13歳)、成人用(14歳~)があり、内容は単語理解や、計算、図形、推理などの問題で構成されています。
成人用の場合は、過去の経験や学習から確立された判断力や習慣、新しい場面で適用を必要とするときに働く知的能力、記憶、論理や推理する能力の4つの偏差知能指数(DIQ)が算出されます。
②ウェクスラー式知能検査
・WPPSI(ウィプシィ)
幼児用の知能検査です(適用年齢:2歳6ヶ月~7歳3ヶ月)。
同じ年齢の子と比べて知能が高いか低いかのみならず、子どもの知的発達の凸凹を知るために実施されることが多いのが特徴です。
・WISC(ウィスク)
子ども用の知能検査として最も広く知られるものです(適用年齢:5歳~16歳11ヶ月)。
全般的なIQ(全検査IQ)と、言語理解指標(物の名前や言葉の理解)、知覚推理指標(目で見たものの理解)、ワーキングメモリー指標(複数の情報を同時に処理したり、順序立てて処理したりする能力)、処理速度指標(どれくらい早く物事を処理できるか)の4つの下位検査指標が算出されます。
・WAIS(ウェイス) 世界で広く使用されている成人用の知能検査です(適用年齢:16歳~)。
知識を問う問題や、計算問題、パズルなどで構成され、語彙や推論、空間認識などの認知機能を測定します。
③K-ABC(ケーABC)
アメリカの心理学者Kaufman, A.S.とKaufman, N.L.により作成されました。
言語能力や処理速度などの認知機能を総合的に評価するための検査です(適用年齢:2歳6ヶ月~18歳11ヶ月)。
子どもの知的能力を、認知処理過程と知識や技能の習得度をみることにより、得意な認知処理様式を見つけることができます。
認知処理過程において継次処理、同時処理、学習能力、計画能力の4つの能力から測定していることが特徴です。
2013年に日本版として標準化されたKABC-Ⅱが最新版となっています。
④Cattell知能検査
言葉に依存しない形式で知的能力を評価する検査です。
特に非日本語話者や言語に困難を持つ子どもに対して有用です。
⑤鈴木ビネー知能検査
1930年に心理学者の鈴木治太郎によって考案された知能検査です(適用年齢:2歳~18歳11ヶ月)。
取り組む姿勢を尊重し、その人の特質を診ることを目的としているため、検査自体に制限時間はありません。
所要時間はおおむね30~50分ほどで、受検する人の集中力を維持しながら短時間で測定できるという特徴があります。
【検査を受ける手順】
続いて、知能検査を受ける際の手順についてご紹介します。知能検査は病院や専門の評価機関で受けることができ、事前に予約が必要な場合がほとんどです。
①予約: 専門の施設やクリニックで予約をします。
②初回カウンセリング: 子どもの現在の状態や背景を理解するためのカウンセリングがおこなわれます。
③検査実施: 専門家が1対1でおこないます。時間は検査の種類や内容によって異なりますが、1時間から数時間が一般的です。
④結果のフィードバック: 検査結果に基づいて、子どもの知的発達や認知機能の特性についてのフィードバックがおこなわれます。
【費用】
知能検査は、専門の病院や自治体の子育て支援センターなどで受けることができます。検査の受け方や費用は、検査の種類や機関によって異なります。
例えば、病院で診療上必要だということであれば、保険内診療となりますが、診断書もしくは報告書を書いてもらう場合には別途料金がかかります。
自治体の支援センターなどで受けられる場合は無料の場合が多いです。
一方、医療機関で診察上必要だと認められない場合や、経過観察目的など、保護者様の希望によって検査を受ける場合には、別途保険外診療の料金がかかることがあります。
保険診療をおこなっていないクリニックなどで検査を受ける場合も、自費での診療となります。
【知能検査を受ける意義】
最後に、知能検査を受ける意義はどのようなものでしょうか?子どもの学習能力や認知機能を具体的に把握することができるので、適切な教育やサポートをおこなうための基盤となります。
特に学習障害や発達障害の疑いがある場合、知能検査はその診断やサポートの方向性を明確にする大切なツールとなります。
知能検査の本来の目的は、IQを出すことではありません。
客観的なデータを得ることで、よりよい支援のために活用するというのが本来の目的です。
人は誰でも、得意なこと、苦手なことがあります。
子どもの発達段階や得意不得意について客観的に理解することで、最適な支援につなげることが、子どもの健全な発達を支える鍵となります。

監修:
発達支援スクール コペルプラス
代表講師 有元真紀
幼児教室コペルの講師時代から、のべ1万人以上の子どもたちの指導に携わる。
また近年は指導員の育成にも力を入れている。
