コラム

2024.06.02
幼児期の発達

心の理論とは? 相手の気持ちを考える力はいつ育つ?

子育てをしていると、子どもに「自分がされて嫌なことは相手にもしない」「お友達の気持ちになって」などの言葉をかける場面がよくあるのではないでしょうか。
しかし、これらの言葉は子どもにとって理解しにくく、効果的でない場合があります。
子どもにとって自分は「相手」や「お友達」ではないからです。

だいたい4歳~6歳頃になると、自分と同じようにお友達にも心があることに気がつき、「お友達にはお友達の考え、気持ちがある」とわかるようになります。
これを「心の理論」と言います。
今回は、心の理論が何歳頃に育つのか、その発達過程と育成方法について詳しく解説します。

【心の理論とは】

「心の理論」とは、他人の心の状態を理解し、その視点に立って考える能力です。
具体的には、他人が何を考え、感じ、信じているのかを推測し、その情報をもとに行動が予測できるようになることを指します。
これは、社会的な相互作用やコミュニケーションにおいてとても重要なスキルです。

【心の理論の発達段階】

心の理論は、乳幼児期から徐々に発達し、以下のような段階を経て成熟するとされています。

〈生後6ヶ月~1歳頃〉
他人の視線や注意を追うようになります。
これを「共同注意」と呼び、他人がどこを見ているのか、何に興味を持っているのかを理解するはじめの一歩です。

〈1歳~2歳頃〉
子どもは他人の意図や目標を理解し始めます。
例えば、親が指差した方向に目を向けたり、物を取ろうとする動作を見て、その意図を理解することができるようになります。

〈2歳~3歳頃〉
子どもは簡単なごっこ遊びを通じて、他人の視点に立つことを学び始めます。
この時期には、他人の感情を理解し、その感情に応じた行動を取ることができるようになってきます。

〈4歳~5歳頃〉
心の理論の重要なマイルストーンが現れます。
この頃、子どもは「偽信念」課題を理解できるようになります。
これは、他者が自分とは異なる、誤った信念を持つ可能性を認識する能力です。
例えば、おもちゃがある場所に隠されていることを知っているが、他者がそれを知らないことを理解できるようになります。

〈5歳以降〉
子どもの心の理論はさらに洗練され、複雑な感情や信念、意図を理解し、予測する能力が高まります。
学校生活や友人関係を通じて、この能力はさらに発展し続けます。

【心の理論の育成方法】

心の理論を育むためには、周りの大人が積極的にサポートすることが重要で、以下の方法が有効とされています。

①対話と質問
日常の会話の中で子どもに感情や意図について質問することで、他人の心を考える機会を与えます。
例:「どうしてお友達はそんなに悲しそうなのかな?」「このお話のキャラクターは何を考えていると思う?」

②役割遊び
役割遊びやごっこ遊びを通じて、子どもは他人の視点を取る練習をします。
異なる役割を演じることで、他人の感情や考えを理解する力が養われます。

③感情教育
感情に関する言葉を教え、子どもが自分や他人の感情を言葉で表現できるようにします。
絵本や感情カードを使って、さまざまな感情について話し合うことが有効です。

④共感を示す
親や教育者自身が共感的な行動を示すことで、子どもは共感のモデルを学びます。
例えば、誰かが困っているときに助ける姿を見せることで、子どもも同じような行動をするようになります。

⑤物語の活用
読み聞かせやストーリーテリングを通じて、子どもは登場人物の感情や行動を理解する練習ができます。
物語の中でキャラクターの気持ちや行動について話し合うことも、心の理論を育てるのに有効です。

まとめ

心の理論は、子どもが他者の気持ちや意図を理解し、それに基づいて行動を予測する能力であり、社会的スキルの基盤となるものです。
この能力は、幼少期から徐々に発達し、状況に合ったサポートと環境によって育まれていきます。
日常生活の中で他者の視点を考える機会を増やすことで、子どもたちは豊かな社会的スキルと共感能力を身につけることができるでしょう。

次回のコラムでは、まだ心の理論が育っていない幼児にも伝わりやすい言葉のかけ方についてご紹介します。

監修:
発達支援スクール コペルプラス
代表講師 有元真紀

幼児教室コペルの講師時代から、のべ1万人以上の子どもたちの指導に携わる。
また近年は指導員の育成にも力を入れている。

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