コラム

2024.07.11
発達障害について

自閉症スペクトラムを持つ子どもの愛着形成プロセス

自閉症スペクトラム(以下:ASD)などの発達障害を持つ子どもは、乳幼児期に抱っこを求めたり後追いをしないことも珍しくありません。
ところが、一般的には親から少しずつ自立し始める小学校中学年頃になってから、親に甘えたり、要求をぶつけ始めることがしばしばあります。

この現象の背景には、ASDを持つ子どもの愛着の形成が、他の子どもたちよりもゆっくりと進むことが挙げられます。
そこで今回は、ASDを持つ子どもの愛着形成プロセスについて解説し、その重要性を考えてみましょう。

【愛着形成とは】

愛着とは、子どもが特定の大人との間に築く深い情緒的な絆のことを指します。
この絆は、子どもの心理的な安定や社会的な発達において非常に重要な役割を果たします。

愛着は生後すぐから形成され始め、赤ちゃんは世話をしてくれる親や養育者と絆を結び、その人を安全基地とすることで安心感を得ます。

【愛着形成の重要性】

愛着がしっかりと形成されると、子どもは情緒的に安定し、自信を持って新しいことに挑戦できるようになります。
また、社会的なスキルや学習意欲も向上します。

反対に、愛着がうまく形成されない場合、子どもは不安定になりやすく、社会的な孤立や学習困難を経験することがあります。
そのため、脳機能に特性を持つ子どもに対しても、愛着形成を促す環境を整えることが重要です。

【自閉症スペクトラムと愛着形成のスピード】

ASDを持つ子どもは、愛着の形成がゆっくり進むことがあります。
これは、感覚過敏やコミュニケーションの難しさ、社会的な相互作用の困難さなどが影響していると考えられます。

例えば、他者と目を合わせることや身体的な接触を嫌がることが多いため、親や養育者との愛着形成が難しくなるのです。
また、脳機能の特性により精神発達がゆっくりで、精神年齢の目安は、個人差がありますがおおよそ実年齢の2/3程度と言われます。

時間はかかったとしても、その子のペースで一歩一歩成長していくことも確かです。
子どもが自分自身を理解し始め、気持ちを表現できるようになってきたら、しっかりと愛着を育めるよう、以下のように対応してみてください。

【愛着形成を促すためにできること】

子どもの愛着形成を促すためには、以下のような対応が有効です。

・コミュニケーションの促進
言葉をたくさんかけることはもちろん、身振り手振りや絵カードなどを使って、子どもが理解しやすい方法でコミュニケーションを取りましょう。

・感情の共有
子どもの感情に寄り添い、共感を示すことが大切です。
子どもが感じていることを理解し、それを受け入れる姿勢を持ちましょう。

・ポジティブな強化
子どもが良い行いをしたときには、ほめたりご褒美を与えることで、ポジティブな強化をおこないます。
これにより、子どもは自信を持ち、愛着形成が進みやすくなります。

・スキンシップ
発達障害を持つ子どもは身体的な接触を嫌がることがありますが、無理のない範囲でハグや手をつなぐなど、温かい接触を試みましょう。
これが子どもの安心感につながります。

・一貫性のある対応
子どもに対して一貫性のある対応をすることが重要です。
規則正しい生活リズムや予測可能な環境を提供することで、子どもは安心感を得やすくなります。

・専門家との連携
ASDを持つ子どもの愛着形成には、家庭だけでなく、専門家のサポートも欠かせません。
児童発達支援スクールやカウンセラーなどの専門家と連携し、一人ひとりのニーズに応じた支援を受けることが大切です。
専門家のアドバイスを受けながら、家庭での対応を工夫することで、愛着形成をよりスムーズに進めることができます。

まとめ

ASDを持つ子どもの愛着形成は、ゆっくりと進む傾向にあります。
親や養育者は、感情の共有やポジティブな強化を通じて、子どもが安心して甘えられる環境を整えることが重要です。
愛着形成を通じて、子どもが健やかに成長し、自信を持って社会に飛び立てるよう共にサポートしていきましょう。

監修:
発達支援スクール コペルプラス
代表講師 有元真紀

幼児教室コペルの講師時代から、のべ1万人以上の子どもたちの指導に携わる。
また近年は指導員の育成にも力を入れている。

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