コラム

2024.10.03
発達障害について

カナー症候群とは? 知的障害を伴う自閉症の特徴と支援のポイント

カナー症候群という言葉を耳にしたことがあるかもしれません。
この名称は、アメリカの精神科医レオ・カナーによって1940年代に発表された、自閉症の一つの形態を指しています。
カナー症候群は、知的障害を伴う自閉症の一種として知られており、特に言葉や知能の発達が遅れ、社会的な関わりが難しいという特徴を持っています。

自閉症の中で知的障害を合併する場合を指す用語で、医学的な診断名ではありません。
中でも、重度の知的障害を伴う場合に使われることが多いですが、現在ではこの名称はあまり使われず、一般的には「自閉症スペクトラム(ASD)」という言葉に統一されつつあります。

今回は、カナー症候群の特徴、診断、そして支援方法について解説します。

【カナー症候群の特徴】

カナー症候群の最も顕著な特徴は、知的発達や言語発達の遅れです。
この症候群を持つ子どもたちは、通常の発達をする子どもと比べて、言葉を覚える速度が遅く、社会的なコミュニケーションも難しいことが多いです。
以下に、主な特徴を挙げます。

①社会的な相互作用の困難さ
カナー症候群を持つ子どもは、人と目を合わせたり、他者とのコミュニケーションを取りにくいとされています。
例えば、名前を呼ばれても反応しない、感情を顔に出さない、他の子どもたちと遊ばないなどの行動が見られることがあります。

②言葉の発達の遅れ
言葉の発達が遅く、まったく話さないか、話すことができても単語を繰り返すエコラリア(同じ言葉を反復する)といった特徴が見られます。
また、意味のある会話ができないこともあります。

③繰り返し行動や興味の限定
同じ行動を繰り返したり、特定の物や活動に強い興味を示すこともカナー症候群の特徴です。
例えば、同じおもちゃで長時間遊び続ける、特定のルーティンに強くこだわるといった行動が見られます。

④感覚過敏または鈍感
音や光に対して過敏であったり、逆に反応が鈍いこともあります。
これにより、日常生活での刺激に対して強い不安を感じたり、特定の状況を避けようとすることがあるかもしれません。

【カナー症候群の診断と治療】

カナー症候群は、多くの場合、2〜3歳の時点で症状が明らかになり、医師や専門家によって自閉症スペクトラム(ASD)として診断されます。
この診断には、社会的相互作用、言語発達、行動パターンに関する観察が含まれます。

なるべく早期に診断されることで、適切な支援を早く開始することが可能になります。
治療や支援の方法としては、以下のものが挙げられます。

・言語療法
言葉の発達に遅れがある子どもには、言語療法士による支援が効果的です。
言葉を使ったコミュニケーションのスキルを徐々に向上させることで、社会的な関わり方も改善されることがあります。

・行動療法(ABAなど)
行動療法は、子どもの特定の行動を変えるための方法として知られています。
ABA(応用行動分析)は、子どもが望ましい行動を取るたびに報酬を与えることで、その行動を強化するというものです。
これにより、コミュニケーションや社会的スキルを向上させることが期待されます。

・作業療法
感覚過敏や身体的な発達に課題がある場合、作業療法士の支援が役立ちます。
特に、日常生活での動作をスムーズに行うためのトレーニングがおこなわれます。

【家庭での支援のポイント】

次に、家庭で取り入れられる支援のポイントについてご紹介します。

①ルーティンを大切にする
カナー症候群を持つ子どもは、日々のルーティンや予測できる環境に安心感を抱きます。
毎日のスケジュールをできるだけ一定に保つことで、不安やストレスを軽減することができるためです。
例えば、食事や寝る時間を決めておく、活動の順序を守るといった工夫が効果的です。

②コミュニケーションをシンプルにする
言葉の理解が難しい場合は、短く明確な言葉で話しかけることが大切です。
さらに、視覚的なサポート(ピクトグラムや絵カードなど)を使うことで、子どもが理解しやすくなります。

③感覚への配慮をする
感覚過敏を持つ子どもには、音や光、触感に敏感である場合があります。
そのため、子どもが落ち着いて過ごせる環境を整えることが必要です。
例えば、静かな場所で過ごす時間を確保したり、苦手な刺激を避ける工夫をすることが有効です。

【社会的なサポートと連携の重要性】

カナー症候群を持つ子どもやその家族は、社会的なサポートを積極的に受けることが重要です。
地域の児童発達支援施設や学校の特別支援学級、医療機関などとの連携を深めることで、子どもにとって最適な支援を受けられるようにしましょう。

また、親同士のサポートグループに参加することも、同じ悩みを抱える家族との情報交換や励まし合いの場として有意義です。

まとめ

カナー症候群は、知的障害や言語発達の遅れを伴う自閉症の一形態です。
早期の診断と適切な支援を受けることで、一人ひとりの発達を最大限にサポートすることができます。

家庭での支援や専門家との連携を通じて、子どもが自分らしく成長できる環境を整えていきましょう。
親として、そして周囲の大人として、子どもの個性を尊重しながら温かく見守ることが、最も大切なサポートとなります。

監修:
発達支援スクール コペルプラス
代表講師 有元真紀

幼児教室コペルの講師時代から、のべ1万人以上の子どもたちの指導に携わる。
また近年は指導員の育成にも力を入れている。

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