2024.11.18
臍帯血保存とは? 自閉症の治療に役立つって本当?
近年、赤ちゃんの臍帯血(さいたいけつ)を保存することに関心が高まっています。
臍帯血とは、出産時に臍帯(へその緒)や胎盤に残っている血液で、幹細胞という特殊な細胞が含まれており、さまざまな病気の治療に使える可能性があります。
臍帯血で「自閉症が治るかもしれない」といった話も耳にすることがあり、事実かどうか気になる方も多いのではないでしょうか。
今回は、臍帯血保存の仕組みや利用方法、自閉症への効果について現在わかっている範囲で解説します。
【臍帯血とは】
臍帯血は赤ちゃんの臍帯や胎盤に残っている血液のことで、特に貴重な「幹細胞」という細胞が多く含まれています。幹細胞には、血液や免疫細胞、さらには体のさまざまな組織に分化できる可能性があり、再生医療や難治性疾患の治療に利用されています。
現在、臍帯血は主に白血病やリンパ腫など血液の病気に対する治療法として利用されており、臍帯血移植はすでに医療の現場で数多くおこなわれています。
また、臍帯血の幹細胞は家族間で適合しやすいこともあり、自分自身だけでなく、家族のためにも保存することができるとされています。
【臍帯血保存とは】
臍帯血保存は、出産時に臍帯や胎盤から採取した臍帯血を、将来の病気治療に備えて保管することです。臍帯血保存の方法には大きく分けて「公共保存」と「民間保存」の2種類があります。
①公共保存
公共の臍帯血バンクに提供する方法で、必要としている患者に臍帯血が提供されます。無償での提供となり、提供した臍帯血を後から家族や本人のために使うことはできません。
②民間保存
個人の臍帯血を民間バンクに有料で保存する方法です。将来的に本人や家族が病気になった際、保存しておいた臍帯血を使うことができます。
【自閉症に効果があるの?】
臍帯血保存が自閉症の治療に役立つかについては、いくつかの研究が進められています。実際、アメリカのデューク大学などでは、自閉症の子どもに自分の臍帯血を用いる治療がおこなわれ、行動や言語の改善が見られたケースが報告されています。
しかし、これは一部の試験結果であり、臍帯血が自閉症の症状緩和に役立つと断言するには至っていないのが現状です。
日本でも、大阪公立大学医学部附属病院において「自閉症スペクトラム障害に対する自家臍帯血有核細胞を用いた治療法の開発」という臨床研究が実施されることが発表されました。
しかし、現在のところ自閉症の根本的な治療法は確立されておらず、臍帯血が効果を持つかどうかについては、今後さらに多くの臨床試験や研究が必要です。
そのため、将来の可能性の一つとして考えることが現実的でしょう。
【臍帯血保存のメリット・デメリット】
臍帯血保存にはさまざまなメリットがありますが、同時にデメリットも理解しておくことが大切です。〈メリット〉
・将来の治療に利用可能家族の病気治療にも使える可能性があり、特に白血病などの血液疾患に有用です。
・自己再生医療への期待
幹細胞を使って自分の体の組織や細胞を再生する技術の進展により、利用価値が高まっています。
〈デメリット〉
・保存費用がかかる民間バンクでの保存には初期費用や年間の保存費用が必要です。
・必ずしも治療に利用できるとは限らない
臍帯血を使用できるかどうかは、病気や症状によって異なります。
また、量が少ないために治療に十分な量が確保できない場合もあります。
・効果が証明されていない分野もある
自閉症をはじめとする発達障害への効果はまだ確立されていません。
【臍帯血保存を考える際のポイント】
臍帯血保存を検討する際には、まず自分の家族にどのようなリスクがあるかを考えることが重要です。家族に血液疾患や免疫疾患のリスクが高い場合、臍帯血の保存が有効かもしれません。
また、臍帯血を利用する可能性が低いと感じる場合は、費用と効果を十分に検討する必要があります。
もし臍帯血バンクを利用する際には、信頼性やサポート体制をしっかり確認することが大切です。
民間バンクでの保存は、長期保存になるため、運営会社がしっかりとした管理体制を整えているか、万が一の場合のサポートがあるかも確認しましょう。
まとめ
臍帯血は、将来の医療や再生治療の可能性を秘めた貴重な資源と言えるでしょう。しかし、特に自閉症の治療に関しては、まだ研究段階であり、効果があるかはわからないのが現状です。
そのため、臍帯血保存については、家族の健康リスクや経済的な負担を考慮し、しっかりと情報収集をおこなった上で判断することが重要です。
臍帯血が自閉症などの発達障害に有効かどうかは、今後の医療の進歩に期待しつつも、冷静な目で判断することが求められます。

監修:
発達支援スクール コペルプラス
代表講師 有元真紀
幼児教室コペルの講師時代から、のべ1万人以上の子どもたちの指導に携わる。
また近年は指導員の育成にも力を入れている。
