天使
ダウン症の5歳の息子。
一言も喋れず、意思の疎通もかなり難しい。
親の私でも、何を考えているのか分からない事が多々ある。
何も考えていないのか?とさえ思う。
1人の世界が好き。
話しかけても基本は知らんぷり。
何かやって欲しい時だけ手を掴みに来る。
それ以外は私なんて居なくても平気。
5年経っても、ママと呼んでくれた事は無い。
『ダウン症の子は天使』
よく聞くセリフだけど、
『ニコニコしていて愛想がいい』
と言うのがダウン症の持ち味で、
きっとそこが天使と言われる由縁だと思うけど、
うちの子は多分自閉症も合併しているから、
ろくに笑わないし、愛想も悪い。
そんな息子がコペルに入所したのは今年の2月。
出来たての五井教室。
藁をも掴む思いだった。
でも、きっと何も変わらないだろう。
うちの息子は障がいのレベルが違う。
そんな気持ちで通い始めた。
先生方はみんな明るく出迎えてくださった。
指導内容は、正直うちの息子にはレベルが高いなと思う所もあるが、
週に2度通って何度も繰り返すうちに、
初めは見向きもしなかった事へも少しずつ興味を持ち始めた。
家ではここまで真剣に取り組む事は至難の業。
それだけでも先生方には頭が上がらない。
息子も、初めは泣きべそをかいて教室に入ろうともしなかった時もあったが、
今では先生の手を引っ張り、自分から入ろうとする事さえある。
そしてフラッシュカードがとても好きだと言う事の発見、それから音の出る物にも興味津々で、
楽しそうな笑顔や手を叩く場面も増えた。
何より先生方に、
『りおくんは存在が天使。居るだけで癒される』
と口々に仰っていただき、
息子がちょっとでも前回と違う反応を見せただけでも飛び上がって喜んでくださる。
息子もそれがとても嬉しそうで、
通所する前と比べて表情がだいぶ豊かになった。
前施設長からは、
『こんな風にりおくんが穏やかで、優しい子なのは、お母さんが大切に大切に愛して育ててきた証拠です』
と身に余るお言葉をいただいた。
私は息子が誕生し、絶望の淵から少しずつ今日まで這い上がってきて、
今でも他の子と比べてしまって落ち込む事もあるし、周りの目が気になり恥ずかしい気持ちになる事もまだまだあるけど、
そんな風に言っていただいて、
ああ、今日までの辛い事も沢山の涙も、間違いじゃなかったのかなって初めて思えた。
息子の事を心の底から『天使』だと思えるにはまだ時間が必要だけど、
そんな風に言ってくださる、偏見のない優しく暖かいコペルで、
息子だけでなく親である私も確実に成長させていただいている。
